EV充電の基礎知識
EV CHARGING
ビルや共同住宅でEV充電器を共用設備とする場合の運用方法
ビルや共同住宅でEV充電器を共用設備とする場合の運用方法
企業や店舗で形成されるテナントビルや、マンションなどの共同住宅に充電器の導入を検討する時は、起こりうるさまざまな課題を事前に理解しておくことが大切です。また、その課題を解決へと導く術も知っておくと、導入までがスムーズになります。課題の一例や管理・運用のポイントをご紹介します。
共用充電器の運用方法のポイント
ビルや共同住宅における充電器導入時の課題
新設する建物であれば、初めから充電インフラを整えることができ、入居者も運用や使用料に合意の上で入居しますが、既存建物の共用スペースである駐車場への充電器の導入は、一筋縄にはいきません。
オーナーの合意が必要なのはもちろんですが、ビル管理会社やマンションであれば管理組合による合意も必要になります。特にマンションではこの「合意形成」が取れずに導入への一歩が踏み出せない、という可能性があります。
ではどのようなことが懸念されるのか、いくつか挙げてみます。
- 補助金があるとはいえ、導入費用がかかる
- 補助金申請など、導入までの手間が面倒
- 予約や決済、料金徴収など、運用や管理の手間とコストがかかる
- 既に駐車場は満車で、新たな共用スペースを整備する必要がある
- 電気自動車(EV車)の保有人数が、エンジン車と比較すると圧倒的に少ない(ゆえに、時期尚早となる)
このように運用面と費用面、双方の解決策が必要なことがわかります。
運用のポイント【ビルや大規模マンションなど複数設置編】
専門の設置事業者へ相談しましょう
電気自動車や充電設備の普及が発展途上につき、これらに関する情報が乏しく、充電器導入までのAtoZをすべて調べて自身で行うことは、相当の労力がいります。さらに、入居者の「導入合意」を得るという大きなミッションもクリアしなければなりません。そこでおすすめなのが、専門の設置事業者を活用することです。
まずは入居者へ充電器設置に関するアンケートを行い、希望者がどの程度いるのか調査します。一定数の希望者がいることがわかれば、設置事業者に連絡をし、提案や相談を受けながら進めていくと良いでしょう。
設置事業者は、導入計画案の作成や補助金申請代行などのほか、実際の設置までを行いますが、それ以外にも事業所独自の運用システムを備えているところがあります。
スマートフォンのアプリを活用して予約・決済をスムーズに
充電器の利用に際し、管理側・利用者のどちらにも負担なく管理・運用できるのが、設置事業所が提供する運用システムの活用です。サービスを提供する多くの事業所は、専用の管理システムを配備し、そのシステムと連携したスマートフォンのアプリで利用者の予約管理や決済、料金徴収などの業務をサポートします。
導入前の相談から設置、運用までを一括してサポートできる設置事業所を選ぶというのも、初めての充電器導入であれば一つの手かもしれません。
運用のポイント【アパートなど少数設置編】
運用はシステムなどを利用せずシンプルに
駐車場の台数がそれほど多くないアパートなどに充電設備を導入する場合、できるだけシンプルな管理・運用とすることをおすすめします。また、戸建住宅向けの普通充電器の導入が、費用面においても負担が軽くなります。
一例を紹介しますので、参考にしてみてください。
駐車場代に上乗せした定額課金
普通充電器の中でも鍵付きのものを設置して、利用者に鍵を渡します。利用者は必要な分だけ充電しますが、一定金額(5,000円程度)を毎月の駐車代と合わせて支払います。
専有設備として各入居者の電気代に加算
個々の駐車場区画に1基ずつ充電器を設置します。各住戸の電気分電盤と駐車場の充電器を接続させるので、充電にかかる電気代は利用者の毎月の電気代に加算されます。
※写真はすべてイメージです。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。