EVの基礎知識
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EV充電器の利用に欠かせない「充電カード」の特徴・使い方・利用料金
EV充電器の利用に欠かせない「充電カード」の特徴・使い方・利用料金
目次
EV自動車を自宅以外で充電するときには、「充電カード」と呼ばれる認証カードが使われています。必ず持たなければならないというわけではありませんが、カードがあればスムーズに充電設備が利用できるため、1枚は持っておきたいところです。
この記事では、EV充電の利用に役立つ充電カードの仕組みや利用料金、車種に関わらず入会できるカードの例をピックアップして紹介します。
これから電気自動車を購入しようと考えている方、すでに電気自動車を利用しており充電カードを使う予定がある方はぜひ参考にしてください。
EV充電器の利用に必要な充電カードとは
充電カードとは、EV充電器の急速充電・普通充電を利用する際に、充電器本体にかざして会員認証と車への充電を行うカードです。
事前にカードを取得して認証までを終えておく必要がありますが、一連の手続きが終わればすぐにカードが使えるようになります。カードにはいくつかの種類があり、株式会社e-Mobility Powerや自動車メーカーが発行するカードのほか、充電カードとして使用できるクレジットカードもあります(事前にパスワードの取得が必要です)。
充電スタンドの多くは、待ち時間や渋滞防止のために充電カードでの認証を推奨しています。充電カードを事前に取得し、リーダーに読み取らせることでスピーディに充電が開始できるため、スタンドにスタッフが常駐する必要がなくなります。認証にかかる手間や時間も省けるので、ドライバー自身でスムーズに充電が実施できます。
EV充電器の利用料金
EV充電器は、カードなしに対応しているものであれば「ビジター」「ゲスト」として都度払いでの支払い・利用が可能です。1回30分(目安)ごとに500円程度が多くみられますが、1,000円を超える充電スタンドもみられます。
月会費を支払うプランは、カードなしと同じように1回あたりの利用料金が課金されます。ただし、都度利用のビジターやゲストよりも1回ごとの利用料金が割安になるというメリットがあります。急速充電と普通充電の2タイプを提供している充電スタンドでは、会員のみ普通充電の価格を無料にしたり、利用料金を安く抑えたりしている場合もあります。
カードのなかには月会費が安いものもあります。ホテルやショッピングセンター内の充電スタンドには、利用者へのサービスとして普通充電料金が無料で提供されているところもあるため、施設ごとのサービスも上手に活用してみましょう。
充電カードの代表例
トヨタ自動車の「EV・PHVサポートカード」は、カード会員として加入・認証を受けることで、日本全国にあるトヨタの販売店・レクサス販売店・株式会社e-Mobility Powerの急速・普通充電器を会員価格で利用可能です。
2023年4月から3つの新料金プランが提供されており、「急速・普通充電プランA」と「急速・普通充電プランB」「普通充電プラン」から選べるようになりました。
いずれも普通充電の従量料金が4.95円(税込)/分となっており、急速充電の料金と月々の基本料金が異なっています。
自動車メーカー以外では、株式会社e-Mobility Powerのプランは、会員・非会員向けに用意されています。会員になると月会費がかかりますが、非会員のビジター料金よりも割安で充電ができます。
e-Mobility Powerの急速・普通充電器は日本全国の公道や高速道に設置されており、店舗の敷地内やトヨタ・レクサス以外の車メーカーの店舗内にも設置されているため、万が一の充電スポットとしてチェックしておき、すぐに充電が始められるように充電カードも用意しておくと安心です。
車種に関係なく入会できるカード
TOYOTAのEV・PHVサポートカードのように、車のメーカーが発行しているカードが保有できない場合は「e-Mobility Powerカード」が便利です。
日本全国に充電スタンドを設置し運営している株式会社e-Mobility Powerのサービスで、自動車メーカーの充電カードが使えなくても、全国の充電スタンドが利用できます。
株式会社JTBコーポレートセールスが提供する「おでかけCard」も同様に自動車メーカー以外の会社が発行している充電カードです。自社で設置している充電器に加え、日本全国にあるe-Mobility Power充電器の利用が可能です。
プランはレギュラー・プレミアの2種類。初回カード発行手数料はどちらも無料で、月会費や急速充電の利用料金が異なっています。
メーカーのオーナー限定カード
TOYOTAの「EV・PHVサポートカード」のように、各自動車メーカーでは自社の車オーナーに向けたカードを発行しています。
【車メーカーの充電カード】
- ・トヨタ自動車:EV・PHVサポートカード
- ・日産自動車:日産ZESP3
- ・本田技研工業:Honda Charging Service
- ・三菱自動車工業:三菱自動車 電動車両サポート
- ・アウディジャパン株式会社:e-tron Charging Service
- ・ジャガー・ランドローバー・ジャパン:JAGUAR CHARGING CARD/LAND ROVER CHARGING CARD
- ・ビー・エム・ダブリュー・ジャパン:BMW Chargingカード
- ・フォルクスワーゲングループジャパン:Volkswagen充電カード
- ・メルセデス・ベンツ日本:Mercedes me Charge
トヨタ自動車の「EV・PHVサポートカード」をはじめ、日本・海外のメーカーは電気自動車の販売とあわせて充電カードを提供しています。
それぞれの充電プラン、サービスの内容は定期的に見直しや変更が行われる可能性がありますので、公式サイト上の案内やQ&A、問い合わせなどからご確認ください。
メーカー限定特典の一例
「三菱自動車 電動車両サポート」のように、充電サービスとロードサービス、その他の特典をまとめたものも便利でお得感のあるサービスです。カードの会員になることでレンタカーの割引といった優待や、会員用のスマートフォンアプリの利用が行なえます。
特典によっては、当月分の充電回数が使用上限に達しなかった場合に、使い残しを翌月に繰り越せるものもあります。電気自動車を購入する際は、車種や車のスペックだけではなく会員に提供されているサービスも比較すると良いでしょう。
充電カードがなくても充電できる?
充電カードを持ちあわせていなくても、充電スタンドの利用は可能です。e-Mobility Powerの充電器では、会員カードを持っていない場合でも「ビジター」として利用することができます。
e-Mobility Power充電器のビジター利用では、車輌に充電コネクターを接続し、その状態でe-Mobility Powerアプリを立ち上げるか、または充電器に表示されているQRコードを読み取って認証サイトにアクセスし、クレジットカードなどの必要事項を入力します。利用者としての必要事項の入力が終わると、充電がスタートします。
他の公衆充電スタンドも同様に、コネクターを車輌に繋いで認証を行うことで充電が始まります。パスワードを電話(ナビダイヤル)またはスマートフォンから取得しなければならない場合もありますので、カード利用よりも手続きに時間がかかる点に注意が必要です。
1回あたりの利用料金は、e-Mobility Powerの急速充電器では最初の5分までが385円(税込)5分以降は1分につき77円(税込)がかかります。普通充電器は最初の15分までが132円(税込)それ以降1分あたり8.8円(税込)となっています。
充電カードの利用では、普通充電器の利用が無料または安く抑えられている場合が多いため、カードなしの利用はコストがかかってしまいます。
充電カードを所有せずに充電するには
充電カードを持っていない状態で電気自動車やプラグインハイブリッド車を充電するには、3つの方法が挙げられます。
【充電カードなしで充電する方法】
- ・公衆EV充電器のビジター利用
- ・ホテルや商業施設を利用する
- ・自宅にEV充電器を設置する
公衆EV充電器は日本全国にあり、カードなしでもビジターやゲストとして利用することができます。また、ホテルや商業施設を利用すると、利用者への特典として充電スタンドが利用できる場合があります。
料金については公衆EV充電器のビジター利用がもっとも割高になり、自宅へEV充電器を設置する方法は充電スタンドや充電スポットへ向かうコストがかからないため、頻繁に車を使う方におすすめです。
自宅にEV充電器を設置して太陽光発電システムや蓄電池と組み合わせれば、電気を買わずに作り出して消費できるため、電気代の節約が期待できます。
充電スポットにおける充電カードの使い方
充電スポットでは、急速充電器・普通充電器のどちらもセルフサービスとなっています。車輌のキーをオフにして、シフトレバーをパーキングに入れます。サイドブレーキも必ずかけておき、車が動き出さないようにしてから公衆EV充電器のコネクターを取り外して、車輌に接続します。
次に、公衆EV充電器のカードリーダーを操作し、カードをかざして認証を行います。読み取りが完了すると充電が始まります(「充電開始」と書かれたボタンがある場合は手動で押してスタートさせてください)。
途中で充電を止める場合
満充電を待つ必要がなく、途中で充電を止めるときは、充電器に備え付けられているSTOPボタンや充電コントローラーの非常停止ボタンや充電終了ボタンを押して終了させます。
メーカーごとに操作方法が異なりますが、途中で止められるボタンはほとんどすべての充電器に搭載されています。充電器を扱う前に、停止ボタンの位置や止め方をチェックしておくと良いでしょう。
充電スポットが設置されている場所
充電スポットや充電スタンドと呼ばれる場所は日本全国に広がっており、自動車の販売店を中心に以下のような施設で提供されています。
【充電スポットの設置場所】
- ・自動車販売店
- ・カー用品店
- ・コインパーキング
- ・宿泊施設
- ・商業施設・小売店
- ・レジャー施設
- ・スポーツ施設
- ・SA・道の駅
- ・公共施設
- ・電気工事店・工場
- ・駅・空港
トヨタ自動車や三菱自動車などの自動車の販売店、カー用品店では駐車場やその他のスペースを活用して、充電スタンドを用意しています。
24時間営業の駐車場やSA(サービスエリア)のように、車を停めるための施設でも充電設備の導入が進んでおり、駅や空港、公共施設や商業施設といった利用者の多い場所でも利用が可能となっています。
電気自動車の一般家庭への普及を見込んで、レジャー施設や宿泊施設でも導入が進んでいます。また、一部の電気工事業者や工場でも充電設備を整えているところがみられます。
充電スポットを探すコツ
充電スポットを探す際には、アプリ「ChargeSPOT(チャージスポット)」や「EV充電スポット検索アプリ」が便利です。
Googleマップのような地図アプリでも、「充電スポット」「充電スタンド」と検索キーワードを入力すれば、現在地近くの充電スタンドが表示されます。
アプリが使えない場合は株式会社e-Mobility Powerが提供するWebサイト「充電スポット検索」などから現在地と連動させて検索をかける方法もあります。
普通充電器の場合
普通充電器の検索方法は、充電スタンドを網羅している検索アプリや検索サイト上で絞り込み検索をかけることで表示されます。普通充電器を表すアイコンをサイトやアプリ内で選べば、普通充電器に対応した充電設備の位置がわかります。
詳細な絞り込み条件として、「駐車無料」「事前予約可能」といった内容でも選べるため、利便性の高いサービスを探している方は充電スタンドの情報を網羅しているサービスで検索をかけてみてください。
急速充電器の場合
急速充電器についても、充電スタンドの情報が細かく確認できるサイトやアプリを活用しましょう。株式会社ゴーゴーラボが提供するEV充電スタンド情報共有サイト「GoGoEV」を例に説明します。
画像引用元:https://ev.gogo.gs/map/?area=%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C
「充電タイプ」から急速充電に対応するCHAdeMoを選んでいくと、急速充電の種類を絞り込めます。こちらも普通充電器と同じように、「駐車無料」「24時間利用可能」といった詳細な絞り込み条件が選べます。
利便性の高い充電カードがおすすめ
今回は、EV充電器の利用に役立つ充電カードの特徴や種類について詳しく紹介しました。カードがなくても充電器自体は利用できますが、登録から充電開始までに時間がかかるため、混み合っている時間帯にはカードを持っているとスムーズです。
充電カードの契約先は所有している自動車のメーカー以外にも選べます。月会費やその他のコスト面で比較するか、サービスの質や内容をチェックしてください。
将来的に電気自動車の購入利用を考えている方は、ぜひ利便性の高い充電カードの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
EVライフでは、EVスタンドやEV充電器の設置に関わるサポートを行っています。
これから導入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。