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ガソリン車からEV(電気自動車)に買い替えるならいつがいい?
ガソリンからEVに買い替えるならいつ?ベストタイミングを解説!
2021年、政府は「2035年度までに新車の100%電動化」の方針を発表。事実上のガソリン車販売停止宣言(※1)を受け、ガソリン車からEV(電気自動車)への買い替えを決意した方も多いのではないでしょうか?
一方、日本ではまだEVの普及率が低く、買い替えのタイミングがつかみづらいのが現状です。この記事では、EVへ買い替えるベストなタイミングをさまざまな角度から予想・解説します。ぜひ、買い替えの参考にしてみてください。
EVへの買い換え時期
「EVに買い換えたい人」は25%
2022年にデロイト・トーマツが発表した、「次世代自動車に関する消費者意識調査」(※2)によると、「今後3年以内に自動車の購入を予定している人」のうちPHEV( プラグインハイブリッドカー)やEVを検討している人は全体の約25%。1位のガソリン車が獲得した287ポイント、2位のハイブリッドカーが獲得した275ポイントに続いて、PHEVが115ポイント、EVが112ポイントを獲得しました。また、「今後自家用車の購入予定がある人」の中で「『いつかは』PHEV・EVを購入したい」と考えている人は全体の4割程度という結果に。
EVシフトへの意識は高まっているものの、「すぐに買い換えるならガソリン車」と考える人がまだまだ多いのが現状のようです。
「価格」と「充電インフラ」がハードルに
一方、「PHEV・EVを候補から除外した人」にその理由を尋ねたところ、最も多い理由は「車両購入価格」で32%。続いて、「購入プロセスに不安」「充電インフラが十分でない」が15%ずつという結果になりました。
また、所得別に「購入予定のエンジンタイプ」を尋ねた調査では、所得が高いほど「PHEV・EVを購入予定である」と答えた人数が上昇。ここでも、PHEV・EVが同等スペックのガソリン車よりも高価であることが影響していました。
「価格の低下」「インフラ整備」が買い替えのポイント!
「次はEVを選びたい」「いつかはEVに買い替えたい」と考える人にとって、EVの価格が下がる時期、充電インフラが十分に普及する時期は買い替えのチャンスです。ここでは、それぞれのベストタイミングはいつになるのか、現在予想されている情報から見極めてみましょう。
バッテリー価格が下がるのは2020年代半ば
EVがガソリン車よりも割高になる最大の理由は、バッテリーにあります。現行のリチウムイオン電池はバッテリーの大きさに価格が比例するため、より長く走るために大容量のバッテリーを搭載することで必然的に価格が跳ね上がってしまうのです。
つまり、EVの価格帯を下げるには電池の低価格化がキモになるということ。現在開発が進められている次世代の「全固体電池」は、高価なリチウムイオン電池に代わってEVの価格を下げることが期待されています。 全固体電池は、トヨタや日産など、日本の自動車メーカーのほか、ヨーロッパの各メーカーが開発に取り組んでおり、2020年代半ばには量産されると言われています。
充電スタンドは2030年までに5倍へ!?
買い替えに悩む人を足踏みさせているもうひとつの要因が、「EVの充電環境」。日本のEVの充電インフラは、ガソリン車の充電スタンドと比べてまだ十分とは言えない状況です。
2021年、政府は「2030年に電気自動車の公共充電スタンドを現在(2021年時点)の5倍である15万基に増やす」という目標を発表。さらに、東京都の小池都知事は2022年4月、「新築マンションや戸建住宅に電気自動車の充電設備を義務化する」方針を発表しています。
また、ガソリン車よりも充電に時間がかかるEVは、公共充電スポットの待ち時間が長いことも課題に。この問題を解決するため、日本の電気自動車用充電インフラを整備する「eモビリティパワー」は現在、6台同時に充電ができる高出力急速充電器の整備を開始しました。
これらの動きから、EVの充電インフラは2020年代後半から2030年までの間に拡充することが期待されます。
その他・買い替え時を見極めるポイント
価格の低下や充電環境以外でも、EVの“買い時”を示す基準は存在します。ここからは、買い替えタイミングに影響するその他のポイントを紹介します。
①2030年までにEVの選択肢が増える!
2021年、トヨタは「2030年のEVの世界販売台数目標」を350万台に引き上げ。2030年までに30種類のEVを展開することを宣言しています。
EVのラインナップが増えることは、ユーザーが選択肢を広げられるということ。競合の動きも含め、今後はより安価で品質の高いモデルも登場することが予想されるため、全モデルがそろう2030年ごろが買い替えに適したタイミングと言えます。
②2022年に自動運転レベル4が実用化!
EVは、車体を動かすためのエンジンを電子制御していることから、自動運転との相性がいいとされています。
自動運転の技術到達度は5つのレベルに分けられ、現在はレベル3が普及段階。2022年4月には、改正道路交通法が可決され、2022年内に自動運転「レベル4」が実用化される見通しです。国内メーカーでは日産が、2025年に向けて「次世代AD(自動運転)」の開発を進めているとのこと。最新の自動運転技術を搭載したEVの登場は、買い替えに悩む人を後押しするでしょう。
自動運転レベルの定義
- レベル0:運転自動化なし
- レベル1:運転支援
- レベル2:部分運転自動化
- レベル3:条件付運転自動化
- レベル4:高度運転自動化
- レベル5:完全運転自動化
(※3)
③現行の「CEV補助金」が続くとは限らない!
「CEV補助金」とは、国や自治体がEVや、PHEV(プラグインハイブリッドカー)、FCV(燃料電池自動車)、の購入にかかる費用を一部負担する制度のこと。環境配慮自動車の普及によるゼロ・エミッション達成を目的として交付されており、交付条件や限度額は毎年更新されます。これはつまり、ある程度の普及率を達成したら交付額の大幅縮小や制度自体の打ち切りもありえるということ。
実際に世界の傾向を見ると、同様の制度である中国の「NEV補助金」は、EVやPHVの十分な普及により、予算の段階的縮小を経て2022年中の打ち切りが決定。イギリスの「プラグインカー補助金」(PiCG)は、2022年6月に打ち切りが発表されました。
EVシフトの過渡期である現在ならではの補助金制度を活用するか、EVが十分に普及し、補助金なしでも手ごろな価格になるのを待って買い換えるのかは、慎重に検討したいところです。
買い替えは2025年以降が狙い目!?
車両価格の低下や充電インフラの充実、車種の選択肢の増加、自動運転技術の搭載など、さまざまなタイミングを考慮すると、EVへの買い替えは2025年〜2030年ごろがベストタイミングと言えそうです。
この記事であげたポイントの動向に引き続き注目し、自身が納得できる買い替え時を見極めてください!
※ 写真はすべてイメージです。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。