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電気自動車の種類とメリット・デメリット|おすすめ車種10選
電気自動車の種類とメリット・デメリット|おすすめ車種10選
目次
テレビやインターネットの広告でも目にする機会が増えた電気自動車には、さまざまな種類があります。
すでに多種多様な車種が販売されていますが、種類別の特徴も押さえておきたいところです。
そこで本記事では、電気自動車の種類や、メリット・デメリットを徹底解説します。
すでに発売されているなかでも、おすすめの車種を厳選して紹介するので、購入を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。
電気自動車とは
電気自動車とは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を必要としない、100%電気を動力源とする地球に優しい自動車です。
総称して「EV」ともよばれ、ガソリンではなく、モーターに電気を充電して走行するようになっています。
2020年10月26日、当時の菅内閣総理大臣が所信表明演説で、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」というカーボンニュートラルを目指す方針を宣言しました。
2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて、自動車業界では2035年までに、乗用車の新車販売を100%電動車にする方針で、自動車電動化計画が着々と進められています。
ガソリン車との違い
電気自動車とガソリン車の違いは、動力源です。
ガソリン車がガソリンを燃料としているのに対して、電気自動車は電気をエネルギー源としています。
電気自動車の内部には、電気を蓄えるためのバッテリーやモーターが搭載されており、走行時の電気は、モーターを駆動するので、二酸化炭素が発生しません。
一方ガソリン車は、エンジン内でガソリンを燃焼させて車を動かすので、排気ガスや振動・騒音が発生してしまいます。
このように、電力を動力源とする電気自動車は、エコな乗り物として注目を集めています。
電気自動車の種類
電気自動車の概要を押さえたところで、種類別の特徴も確認していきましょう。
ひと口に電気自動車と言っても、大きく4つの種類に分けられます。
種類①BEV
BEVは、エネルギー源を100%電気とする電気自動車を指します。
「Battery」の頭文字と、EVを合わせて、BEVとよびます。
二酸化炭素を排出しない、環境に優しい次世代車として注目を集めている電動車とは、一般的にこのBEVを指します。
エンジンの代わりに、モーターを搭載しているので、整備に必要な部品が少なく、シンプルな構造になっています。
種類②HEV
HEVは、「Hybrid Electric Vehicle」の略で、ハイブリッド自動車ともよばれます。
電気自動車のなかでも、一番早く登場したことから、現在もっとも普及しています。
エンジンとモーター、すなわち、ガソリンと電気という2つの動力源を備えている点が大きな特徴です。
速度が上がりきるまでは電気を使い、巡航速度に達したあとはガソリンを使う、または短距離の移動には電気のみで走行するといった活用方法が挙げられます。
HEVのモーターは、エンジンが発電したエネルギーを利用するので、外部電力を必要としません。
走行性能で分けると、電気モーターのみで走行できる「ストロングハイブリッド」と、電力でエンジンをサポートする「マイルドハイブリッド」の2タイプがあります。
種類③PHEV
PHEVは、「Plug-in Hybrid Electric Vehicle」の略称で、プラグインハイブリッド自動車とよばれています。
エンジンとモーターの、2つの動力を備えている特徴を持つ点はHEVと同じですが、外部電力が使えるという大きな違いがあります。
走行中に充電が切れたとしても、ガソリンエンジンに切り替えて走行できるので、電気自動車の航続距離の不安を払拭した画期的な自動車といえます。
電気自動車の充電は、普通充電と急速充電の主に2種類ですが、日本との規格の違いから、欧米メーカーは急速充電器に対応していない点には、注意しておきたいところです。
種類④FCV
FCVは、「Fuel Cell Electric Vehicle」の略称で、水素を燃料とする燃料電池自動車です。
これまで紹介してきた電気自動車と大きく異なるのが、燃料が水素であり、水素と酸素を利用して電気を発生させる仕組みという点です。
走行時に発生するのは、水のみなので、二酸化炭素を排出しないゼロエミッションカーです。
しかし、水素の充填設備がなかなか増えない現状や、補助金込みでも高価格という点が普及のネックとなっているため、さらなる技術革新と低価格化が課題です。
電気自動車を利用するメリット
ここでは、電気自動車の具体的な3つのメリットを紹介します。
メリット①環境に優しい
先述してきたように、電気自動車は種類によらず走行時に二酸化炭素を発生させないため、地球環境に優しいという利点があります。
現在、主流のガソリン車と比べて、注目を集めている理由は、エネルギー源が電気であり、二酸化炭素を発生させないからです。
電気の製造時や発電時に二酸化炭素が発生するのが課題ですが、太陽光発電や火力発電などの再生可能エネルギーを用いた製造や発電により、脱炭素化が進められています。
電気自動車を利用すれば、環境保全に少しでもつながることを考えると、大きな貢献といえるでしょう。
メリット②走行中の静音性が高い
エンジン車は、走行中にエンジンの燃焼を繰り返す動作が必要であるため、振動や騒音が生じることは避けられませんでした。
しかし、電気自動車はモーターを電気の力で駆動させる仕組みなので、振動は少なく、走行音は気にならないレベルに抑えられています。
振動や騒音などを抑えていながら、加速度が大きく、パワフルな走行を実現できる点も電気自動車の強みの1つです。
モーターの特性を活かした乗り心地のよさは、実際に試乗して実感してみてください。
メリット③補助金や減税が適用される
電気自動車は、ガソリン車と比べると本体価格が割高になっています。
購入時は、国や自治体による補助金やエコカー減税といった優遇制度を利用できるので、定価よりも安く購入できるかもしれません。
優遇制度は、車種や住んでいる地域の自治体によって異なります。
なお、国が設けている補助金と、自治体が設けている補助金は重複して申請できる場合もあるので、各ホームページを確認しましょう。
電気自動車を利用するデメリット
電気自動車の開発や提供が推進されているものの、日本における普及率はわずか0.8%というのが現状です。
これは経済産業省による『モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会』の参考資料で明らかにされています。
さまざまなメリットがある一方で、国内での普及が進んでいない背景には、どのような理由があるのでしょうか。
ここでは、電気自動車のデメリットに焦点をあてて、解説します。
参照元:経済産業省 「モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会 参考資料」
デメリット①満充電に時間がかかる
電気自動車は電気を充電することで走行できますが、この充電が満タンになるまでにかなりの時間を要します。
充電方法にもよりますが、普通充電だと満充電までに4~8時間かかり、急速充電も1回の充電に制限がかけられているため、30分間で約80%までしか充電できません。
ガソリン車の給油は5分足らずで満タンになるので、その差は歴然といえます。
今後改善される余地はありますが、現時点での利便性の低さは否定できないかもしれません。
自宅に充電設備を設置するのであれば、夜間の睡眠時間を充電にあてられるので、こうした空き時間を有効に使って、フル充電を行うのがよいでしょう。
デメリット②充電設備が普及していない
電気自動車の充電設備は、すでに街中に普及しているものの、その数はまだまだ少ないです。
自宅に充電設備を設置すれば気にならないでしょうが、多額の設置費用を考えるとそう簡単ではないでしょう。
たとえば、コンビニエンスストアやガソリンスタンド、商業施設の駐車場などに整備されていますが、都市部に集中しているので、自宅の近くにインフラ設備はないかもしれません。
また、充電しようとしていた場所の充電設備が、順番待ちの車で埋まっている可能性も考えられます。
電気自動車がこの先、普及していくにつれ、街中の充電設備もどんどん増えていくでしょうが、電気自動車の購入前に、自宅周辺の充電設備がどこにあるのかは確認しておきましょう。
電気自動車の選び方
電気自動車にもさまざまな種類があるので、いざ選ぶとなると、どんなタイプにしようか、迷ってしまうかもしれません。
そうした方のために、電気自動車を選ぶ際のポイントを紹介します。
以下で紹介する2つのポイントを押さえて、ご自身に合う電気自動車を探してみてください。
満充電の航続距離の長さ
電気自動車は、どの種類であっても、普通充電や急速充電にかかわらず、満充電までに時間を要します。
満充電で走行できる航続距離がどのくらいなのかは、購入前に確認しておきたいポイントです。
満充電後の航続距離が長いほど、充電の回数を減らせます。
目的地に向かう途中の立ち寄り充電も減らせるので、長距離移動もスムーズになるでしょう。
航続距離で選ぶときは、その電気自動車の「電費」も確認してみてください。
電費は、1キロ走るのに、どのくらいの電力量を必要としているのかを示した数値なので、数字が小さいほど、少ない電気で長い距離を走行できるということになります。
バッテリーの保証の充実さ
電気自動車に搭載されているバッテリーは、大容量かつ高性能ですが、充放電の繰り返しや経年を原因とする劣化は避けられません。
しかし、バッテリーは安価ではないため、交換する場合には多額の費用が必要になります。
交換にかかる費用を抑えるには、バッテリーの保証内容が充実しているものを選ぶと安心です。
なお、バッテリーの保証内容や保証を受けられる基準は、メーカーや車種によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
国内で販売されている電気自動車10選
最後に、国内で販売中の電気自動車のなかから、おすすめの10車種を紹介します。
お好きな電気自動車を、メーカーや車種なども加味して見つけてみてください。
日産|アリア
日産の『アリア』は、2022年1月に発売されたSUV型の電気自動車です。
電磁石によって新開発したモーターと大容量バッテリーにより、470キロもの一充電走行距離を実現しました。
季節によって変化する温度の影響を受けないよう、温度制御装置を搭載しているので、バッテリーの寿命を長持ちさせながら、性能の低下を最小限に抑えています。
さらに、電動4輪制御技術「e-4ORCE」により、コーナリング時にも路面状況や走行状況に合わせて、タイヤのグリップが最大化するのも特徴の1つです。
これにより、確実な減速と車両コントロールが可能となります。
日産|リーフe+
日産の『リーフe+』は、2017年10月2日に国内でリリースされた、『リーフ』の大容量バッテリー搭載モデルです。
国産の電気自動車の代名詞と言っても、過言ではありません。
60キロワット時のバッテリーでの、一充電走行距離は458キロとなっており、ガソリン車とほぼ変わらない性能です。
また、モーターの最高出力は160キロワットと、加速性能も高いです。
普通充電と急速充電に対応しているので、自宅での充電はもちろん外出先でも充電できます。
日産|サクラ
日産の『サクラ』は、2022年6月16日に発売された、日産初の軽EVです。
モーターの構造が最適化されているため、軽自動車の最高水準レベルの静粛性を実現しています。
運転中の衝突やふらつき、ペダルの踏み間違いなどを防止するためのアシスト機能を搭載しており、安定感と力強さのある走行性能を誇ります。
一充電走行距離は180キロとなっており、日常生活には十分な航続距離を確保しています。
ドライブモードは「Eco」「Standard」「Sport」の3種類があり、その日の気分によってモードを選べば自分らしい運転が楽しめるでしょう。
三菱|eKクロスEV
『eKクロスEV』は、日産と三菱の合併会社「NMKV」が企画・開発した、サクラの兄弟車です。
前出のサクラと基本的な走行性能は同じであり、日常生活には十分な航続距離と力強い走りを実現しています。
一充電走行距離は180キロなので、日常的な走行であれば2日間以上充電の心配は不要です。
また、ドライブモードが「ECO」「NORMAL」「SPORT」の3種類あるので、ドライバーの気分や走行状況によってモードを切り替えられます。
走行時は、アクセルペダルのみで加減速を調節でき、ブレーキへの踏みかえ作業は必要ありません。
Tesla|テスラModel 3
『テスラModel 3』は、Teslaが販売している電気自動車のラインナップのなかでは、もっともリーズナブルな価格帯のモデルです。
スタンダードモデルの最高航続距離は565キロで、デュアルモーターによる加速性能と最高時速を誇る、「パフォーマンス」の最高航続距離は605キロです。
さらに、バッテリーを強化した「ロングレンジ」であれば、689キロの航続距離を実現しています。
ドライバーの負担を軽減できるオートパーキングやオートレーンチェーンなど、先進のオートパイロット機能が標準搭載されています。
Tesla|テスラModel X
『テスラModel X』は、卓越した航続距離とパワーを両立させたスポーティモデルです。
最高航続距離は637キロ、あるいは652キロであり、ガソリン車に劣らない航続距離を誇ります。
Teslaが提供するテスラEVの専用充電器「スーパーチャージャー」の位置を検索して、自動でルート案内してくれるサービスもうれしいポイントです。
スーパーチャージャーでは、15分間で275キロ走行分の充電が行えます。
マツダ|MX-30EV
『MX-30EV』は、マツダがSUV電気自動車として唯一販売しているモデルです。
マツダが追求する「人間の体が本来持っている能力を最大限発揮させること」を、実現すべく開発された電気自動車です。
一充電走行距離はモデルによりますが、256キロ、あるいは281キロです。
周囲の車や人との衝突を防ぐスマートブレーキサポートや、危険回避ステアリングアシストを搭載し、安全運転をバックアップしています。
SUBARU|ソルテラ
スバルの『ソルテラ』は、JNCAPの2022年度評価で「自動車安全性能2022 ファイブスター賞」を獲得している、総合安全を体現した電気自動車です。
事故を起こしにくくすることを目的とした、走行中の安全性をサポートする「SUBARU Safety Sense」を採用しています。
これは予防安全パッケージであり、衝突回避のサポート機能をはじめとして、ドライバーの疲労軽減を目的とする運転支援機能などが含まれています。
Honda|Honda e
『Honda e(ホンダイー)』は、機能性と親しみやすさを両立させたデザインとして、2020年にグッドデザイン賞も受賞した電気自動車です。
走り始めた瞬間から、力強い加速が体感できるSPORTモードや、コントロール重視のNORMALモードが選べます。
さらに、アクセルペダルのみで加減速できるシングルペダルコントロールによって、誤操作も防ぎ、安全なドライブが可能です。
衝突回避や車線キープ支援、急発進の防止といった、Hondaが誇る安全運転支援システムも標準搭載しています。
レクサス|UX300e
『UX300e』は、レクサス独自のノイズクリーニング技術やバッテリーの配置に工夫を凝らし、静粛性に徹底的にこだわった電気自動車です。
プリクラッシュセーフティにより、交差点右左折支援や低速時加速抑制など、衝突回避あるいは被害経験をサポートします。
また、車のセンサーのみでは感知しきれない情報は、車同士あるいは車と道路が直接通信し、ディスプレイの表示やブザー音で知らせる「ITS Connect」というシステムでカバーします。
タイヤ空気圧の警告表示や7つのエアバッグを搭載するなど、走行性能だけではないオプションにより、快適なドライブを楽しめるでしょう。
電気自動車の車種ごとの特徴を押さえて、自分にぴったりの車を探そう
いかがでしたでしょうか?
電気自動車には、BEVやHEV、PHEV、FCVの4種類があります。
いずれも電気をエネルギー源とする車ですが、走行性能や動力源などが異なります。
電気自動車は環境にやさしく、走行中の騒音や振動も気にならないような構造をしているので、ガソリン車との違いを押さえて選びたいところです。
新しく電気自動車を選ぶ際は、航続距離や保証内容などを加味して探してみてください。
EVライフであれば、電気自動車の充電設備のことはすべてお任せいただけます。
補助金の申請などでお困りの方も、ぜひ一度お問い合わせください。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。