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電気自動車の充電スタンドの設置費用を条件別に徹底解説
電気自動車の充電スタンドの設置費用を条件別に徹底解説
目次
「電気自動車の充電スタンドを設置したいけど、費用が高額になりそう……」と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
充電スタンドにはさまざまな種類があり、設置費用も異なります。
そこで本記事では、電気自動車の充電スタンドの費用内訳や、設置の際に注意すべき点などを紹介します。
充電スタンドをリーズナブルな価格で設置して、より便利な駐車場にしたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
電気自動車の充電スタンドの設置費用の内訳
まずは、電気自動車の充電スタンドを設置するにあたり、どこで費用が発生するのかという内訳を把握しておきましょう。
設置費用は、「充電スタンド本体の価格」と「設置工事にかかる費用」の2つから成ります。
なお、充電スタンドは「普通充電器」と「急速充電器」の2種類に大別されます。
どちらを選ぶかによって、設置工事の費用も異なるので、設置費用の総額は一概にはいえません。
よって、設置費用の見積もりは、なるべく詳細なものを出してもらい、不明な点は質問しましょう。
【種類別】充電スタンドの本体価格の相場
ここからは、充電スタンドの設置にかかる費用の相場を、項目ごとに解説します。
はじめに、充電スタンドに設置する充電器本体の種類によって費用がいくらかかるのかを以下にまとめました。
普通充電器の場合
普通充電器とは、出力電力が6kWの充電器のことです。
充電速度がゆっくりであり、家庭や商業施設の駐車場などに設置されています。
充電のみを行う充電器であれば、20万円ほどで設置できます。
商業施設では、電気自動車の充電にかかった電気料金を利用者から支払ってもらう必要があります。
その場合は、課金機能(決済機能)が搭載されている充電器がおすすめです。
このような課金機能付きの充電器を設置する場合は、70万円ほどの費用がかかります。
急速充電器の場合
一方、急速充電器とは出力電力が50kW以上の充電器を指し、短時間で電気自動車の充電が完了します。
長距離ドライブの途中に短時間で充電するニーズが高い高速道路のパーキングエリアやサービスエリア、道の駅などに多く設置されています。
急速充電器の本体価格の相場は230万円ほどで、普通充電器と比べると高額です。
【建物別】充電スタンドの設置工事費の相場
続いて、一般住宅のタイプ別に、充電スタンドの工事費用の相場を紹介します。
一軒家の場合
一軒家の駐車場に充電スタンド(普通充電器)を設置する場合の費用は、10万~20万円ほどです。
アパート・マンションよりも安価で設置できますが、家の立地によっては、設置工事が複雑になり、追加で費用が発生するケースもあるので注意してください。
充電スタンドの設置に際して、国や地方自治体から補助金が受け取れるケースもありますが、一軒家の場合は基本的に補助金が適用されないという点も覚えておきましょう。
アパート・マンションの場合
アパート・マンションの駐車場に充電スタンドを設置する場合、建物の規模によって費用が異なります。
大きな駐車場がある場合は、充電スタンドを複数台設置することもあるでしょう。
その場合は、設置する台数だけ本体価格はかかりますが、工事にかかる費用を抑えることができます。
また、アパートやマンションは共同住宅なので、勝手に設置することは、当然できません。
充電スタンドを設置したいという旨を、アパート・マンションの管理会社や貸主に伝えて、設置費用や工事の詳細に同意してもらう必要があります。
【電力別】充電スタンドの設置費用の相場
次に、契約電力の違いによる充電スタンドの設置費用を紹介します。
実は、供給される電力によって設置できる充電器の種類が異なり、費用も大幅に異なるので、以下を参考にしてみてください。
低圧契約の場合
電力会社との契約が「低圧契約」の場合、50kWの電力が供給されますが、ブレーカーの制約により実際に使える電力は40kWまでとなります。
さらに、生活に必要な電力を差し引いて考えると、電気自動車の充電に使える電力は20kWが限界です。
費用としては、上記でも紹介したように、普通充電器の設置費用である70万円ほどが相場です。
この電力内では、最大で普通充電器(6kW)を3台まで設置できます。
また、低圧契約では急速充電器が設置できないので、電力プランの見直しや高圧化を視野に入れる必要があります。
高圧契約の場合
供給される電力を高圧化するには、高圧受電設備が必要です。
この設備の価格と設置費用を合わせると、400万~500万円ほどとなり、さらに別途で本体価格がかかります。
費用が高額になるうえに、大型の設備なので、一軒家やアパート・マンションには不向きです。
高圧化は、急速充電器を設置する場合に必要なので、高速道路のパーキングエリアやサービスエリアなど、急いで充電をしたい場所に限られます。
電気自動車の充電スタンドを設置する際の3つの注意点
場所や状況別の費用の相場を把握したら、次に考えるべきことはなんでしょう。
充電スタンドを設置する際には、注意すべき3つの点があります。
以下にまとめたので、参考にしてみてください。
注意点①契約アンペア数とブレーカーの容量を確認する
電力会社との契約で、供給される電力のアンペア数とブレーカーの容量は決まっています。
屋内で使用される通常のコンセントを電気自動車の充電に使用すると、ブレーカーが落ちる可能性が高いです。
これは、電気自動車の充電に出力3,000Wの200Vコンセントを使用するからで、通常のコンセントでは電力の供給が間に合わないためです。
よって、屋外に200Vの自宅充電用コンセントを設置する必要があります。
注意点②設置場所から分電盤までの距離を計測する
実は、充電スタンドを設置する位置と、分電盤の位置によって設置費用が変わるということをご存じでしたか?
分電盤から15m以内の場所に充電スタンドを設置する場合は、工事の基本料金に含まれていることが多いので、追加の費用は発生しません。
しかし、15m以上の場所に設置する場合は、別途工事が必要になり、追加費用が発生します。
あらかじめ、分電盤から設置したい位置までの距離を測っておくとよいです。
注意点③コンセントの位置を確認する
電気自動車の充電には、専用のコンセントと充電ケーブルが不可欠です。
通常、充電ケーブルは電気自動車の社内に収納されており、長さは5メートルが一般的です。
つまり、コンセントと充電口の距離は5メートル以内である必要があります。
駐車した状態で、充電ケーブルが届く位置にコンセントを設置する必要があるので、事前に駐車位置とコンセントの距離を測っておくとよいです。
電気自動車の充電スタンドの設置業者を選ぶ際の3つのポイント
充電スタンドを設置する際は、電気工事が必要なので、専門の業者に依頼しましょう。
ここからは、設置工事で失敗しないように、優良な業者を選ぶための3つのポイントを紹介します。
ポイント①資格の有無
充電スタンドの設置工事では、高圧の電気を取り扱うので、専門の資格が必要です。
電気工事の資格にはさまざまなものがありますが、電気自動車の充電スタンドの設置に必要なのは「第二種電気工事士」以上の資格です。
資格をもった職人が在籍している会社・業者であるかどうかを、必ずチェックしてください。
ポイント②口コミの評価
どの業者に依頼すべきか迷う際には、実際に充電スタンドの設置を依頼した人の口コミが参考になります。
よい評判が多い業者を選ぶことはもちろんですが、口コミの内容も要チェックです。
たとえば、「費用を抑えられる」という口コミが多い業者なら、費用面だけでなく施工が丁寧だったかどうかという口コミがあるかも探してみてください。
このように複数社を比較して、費用や施工の丁寧さ、対応のよさなどを総合的に判断すると、失敗するリスクを減らせます。
ポイント③施工実績数
これまでの施工の実績数も、業者選びの際には欠かせないポイントです。
実績豊富な業者であれば、それだけ多種多様なケースに対応してきたという安心感があります。
また、実績が多い業者であるほど、工事の難易度の見分けがつくので、難しい工事かどうかや、この工事にどんなリスクがあるのか、という点を事前に説明してくれるはずです。
電気自動車の充電スタンドの設置費用は条件によって大きく異なる
いかがでしたでしょうか。
電気自動車の充電スタンドの設置費用には、充電器の本体価格と設置工事にかかる費用の2つが含まれています。
充電器本体の価格だけでなく、建物の種類や、契約している電力の大きさによっても費用は大きく異なります。
また、分電盤やコンセントの位置などで追加工事が発生する可能性があるので、費用の詳細は専門の業者に見積もりを出してもらいましょう。
業者を選ぶ際には、資格の有無はもちろん、口コミや実績数に注目して、複数社を比べてみてください。
EVライフでは、EVスタンドやEV充電器の設置に関わるサポートを行っています。
これから導入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。