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EVと自動運転は相性がいい?組み合わせるメリットや自動運転搭載EVの事例を紹介
EVと自動運転は相性がいい?!組み合わせるメリットや開発事例を紹介!
いま、自動運転の実用化に向けた開発が注目されています。日本では2022年4月、改正道路交通法の可決により自動運転「レベル4」の公道走行が許可されました。「レベル4」は特定の条件下においてシステムのみで走行を行う完全自動運転を意味し、ドライバーを必要としない走行を可能とする段階。海外では、「レベル4」以上のシステムが無人タクシーなどのサービスにも活用されています。
そして今、自動運転技術の進化を加速させているのが、世界的なEV(電気自動車)シフトの流れです。EVと自動運転技術は相性が良いとされており、2つの技術が組み合わさることでさまざまな相乗効果が見られます。
今回は、今後自動車業界の主軸となるであろう、EVと自動運転技術の親和性について解説します。
自動運転とは?自動運転化のメリット
自動運転とは、「ドライバーを必要とせず、移動のための操作を機械が行うシステム」を意味します。航空機や船舶などで導入されているほか、現在、世界的に自動車の自動運転化が進められています。自動車の自動運転技術の普及には、人的ミスによる交通事故の削減や渋滞の解消、高齢者の移動、物流効率化、移動サービスの人手不足解消など、さまざまなメリットがあり、社会課題への活用が期待されています。
自動運転レベルとは?
自動運転は国によってさまざまな定義が存在します。日本では、運転の主体や自動化のレベル、走行可能エリアによって下記の6段階に分けられています(※1)。
運転者主体
レベル0 | 運転自動化なし | |
---|---|---|
レベル1 | 運転支援 | アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかが、部分的に自動化された状態。 |
レベル2 | 部分運転自動化 | アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態。 |
システム主体
レベル3 | 条件付運転自動化 | 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。ただし、自動運行装置の作動中、自動運行装置が正常に作動しないおそれがある場合においては、運転操作を促す警報が発せられるので、適切に応答しなければならない。 |
---|---|---|
レベル4 | 運転支援 | 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 |
レベル5 | 完全運転自動化 | 自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 |
(※1)
日本では「レベル3」が普及段階
現在日本では、一定の条件下において公道での自動運転が認められている「レベル3」が普及段階です。また、2022年内には高速道路を自動運転で走れる「レベル4」の実用化が実現すると言われています。
「レベル4」は、ドライバーを必要とせず、システムが自立的に運転操作を行うという高度な自動運転技術です。完全な自動運転が実現することで、人手不足が叫ばれる移動サービスや輸送サービスへの活用が期待されています。
EVと自動運転は相性が良い!
システムで運転操作を制御する自動運転技術は、エンジンを電子制御しているEVと相性が良く、EVシフトが進んでいる国ほど自動運転技術は成熟している傾向にあります。実際に、EVの普及が進んでいる中国では、IT大手の百度(バイドゥ)が開発した「レベル4」の自動運転タクシーがすでに一部地域で実用化されています。
では、EVと自動運転技術が出会うことで、どのような相乗効果が起こり、ユーザーにどんなメリットがあるのでしょうか?「安全性」と「環境」の2つの視点から見てみましょう。
「EVシフト」で高まる『自動運転』の安全性
自動運転車には、周囲の状況を把握するシステムと、「走行」や「停止」などの動きをコントロールするシステムの、2つのシステムが搭載されています。EVに搭載されている電動モーターは、構造がシンプルで反応が早いため、システム間のやりとりもシンプルになり、危険発生時の対応も早くなります。
『自動運転』でエコになるEV
自動運転は、ドライバーによるムダな操作がなくなり、目的地へのルートが最適化されるため、走行に使われるエネルギー消費量が低減します。電気を動力として走るEVと自動運転が組み合わさることで、環境への貢献度が大きくなるだけでなく、電費がアップし、より快適な使用感につながるでしょう。
自動運転搭載のEV
現在、世界中で実用化に向けて開発が進められている自動運転技術搭載のEV。日本ではまだ一般的ではないものの、「自動運転技術はEVでこそ真価が発揮される」という声もあり、今後の展開に注目です。ここでは、現在世界で開発が進められている、または一般販売されている自動運転技術搭載のEVを紹介します。
Tesla(テスラ)
アメリカのEV大手Teslaは自社の車両にADAS(オートパイロット)やFSD(フルセルフ ドライビング ケイパビリティ)などの機能を搭載。現時点では「運転支援」と言えるものですが、ソフトウエアを継続的にアップデートすることで、完全自動運転化を実現する方針です。
小鵬汽車(シャオペン)
中国のEVスタートアップ企業、小鵬汽車(シャオペン)も、自動運転に力を入れているメーカーのひとつ。2021年には、自動駐車機能やNGP(自動ナビゲーション支援運転)を備えたシステム「XPILOT3.0」を発表。今後はレベル4の実用化に向けて開発を進めていくとのことです。
百度(バイドゥ)
中国のIT大手、百度(バイドゥ)は2022年中に予約を開始するSUVタイプのEV車、「ROBO-01」のプロトタイプを発表。このモデルには、高速道路や街中での完全自動運転が可能な「レベル4」の自動運転機能が搭載されるということです。2023年の納品を予定しており、実現すれば世界で初めて「レベル4」を搭載した市販車となります。
日産&三菱
日産と三菱の共同開発により発表された軽自動車タイプのEV、日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」は、駐車時の操作を自動化する自動駐車支援機能が搭載されています。それぞれ「プロパイロット」、「マイパイロット」の名称がつけられており、後退しながら・前進しながらの並列駐車、縦列駐車のどちらにも対応しています。
「レベル4」搭載EVの実用化に期待!
自動運転「レベル4」の実用化には、車両位置や交通情報を把握するための情報インフラの整備が必要不可欠です。そのため国内での実用化は、あと数年の時間を要すると考えるのが現実的でしょう。今後は、「レベル4」解禁に向けた法整備を進める中で、EVへの自動運転システムの導入が加速していくことが予想されます。
EVと自動運転技術が同時に進化していくことで、エネルギー問題や交通事故の低減など、さまざまな社会課題への対応が期待できるでしょう。今後の動きに注目です!
※ 写真はすべてイメージです。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。
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