EVの基礎知識
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EVにかかる維持費はどれくらい?ランニングコストを抑える方法も紹介
EVにかかる維持費はどれくらい?ランニングコストを徹底調査!
ガソリン車に比べて購入価格が高いイメージがあるEV(電気自動車)。しかし、走行コストはガソリン車よりも安く、長い目で見て出費を抑えられるのはEVだと言われています。
では、EVにかかる走行コストはガソリン車とどれくらい違うのでしょうか?また、車を所持すると、走行コストの他にもさまざまなランニングコストがかかります。EVにかかる税金や保険料、メンテナンス費用(維持費)はどれくらいなのか、購入前に知っておきたいEVにかかるコストのあれこれを紹介します。
ランニングコストのポイント
ランニングコスト①走行コスト
EVの走行コストは、充電にかかる電気代で表すことができます。電気代は、充電器の種類や電力会社との契約、電力を使う時間帯によって異なりますが、電力100Vの一般的な家庭の場合、電気代は20〜30円/1kwh程度(※1)。『日産リーフ e+』60kwhの場合、フル充電でおよそ1200円〜1800円の電気代がかかります。
さらに、フル充電にかかった電気を、航続距離(1回のフル充電で走れる距離)で割ると、1kmあたりのコストを表すことができます。上記『日産リーフ e+』の場合、フル充電で450km(WLTCモード)走ることができるため(※2)、1kmあたりおよそ2.7円〜4円のコストがかかる計算です。
ガソリン車と比較するとどのくらい違う?
では、ガソリン車の場合は1kmあたりどれだけのコストがかかるのでしょうか?一般的なガソリン車の場合、ガソリン1Lで走れる距離は20〜30km(※2)。ガソリン代を170円/L(※1)すると、1kmあたり5.7円〜8.5円のコストがかかります。電気代やガソリン代は日々価格が変動しますが、2022年7月現在では、ガソリン車はEVに比べて2倍以上の走行コストがかかっていることがわかりますね。
- ※1 2022年7月現在の参考価格です。
- ※2 厳密には走行速度や気温、エアコンの使用状況によってもことなるため、おおまかな計算です。
ランニングコスト②税金
EVは、自動車にかかる税金もガソリン車よりお得です。車の維持費にかかる税金には、「自動車重量税」と「自動車税」の2種類があります。それぞれどのように安くなるのかを見てみましょう。
自動車重量税
「自動車重量税」とは、車検証に記載された車両重量や新車登録時からの経過年数に応じて支払い義務が生じるもので、通常、新車登録時に3年分、その後は2年ごとの車検時にまとめて支払います。
しかし、EVの場合は『エコカー減免』の対象となり、現在のところ、2023年4月30日までに新車登録を行うと、新車登録時と初回車検時の自動車重量税が免除されるのです。
例えば、日産のEV『日産リーフ e+ G』の場合「2年自家用車」の「2.0t以下」に該当。ガソリン車の場合は32,800円(16,400円/年×2)の重量税が、新車登録時に3年分・49,200円(16,400円×3)、1回目の車検時に2年分・32,800円(16,400×2)が免税され、ガソリン車よりも82,000円お得になります。さらに、エコカーはその後も、燃費達成率ごとに一定の割合で減税が適用されます。
車両重量税
車両重量 | エコカー減免 | エコカー (本則税率から軽減) |
エコカー外 | |
---|---|---|---|---|
50%減 | 25%減 | |||
0.5t以下 | 免税 | 2,500円 | 3,700円 | 8,200円 |
〜1.0t | 免税 | 5,000円 | 7,500円 | 16,400円 |
〜1.5t | 免税 | 7,500円 | 11,200円 | 24,600円 |
〜2.0t | 免税 | 10,000円 | 15,000円 | 32,800円 |
〜2.5t | 免税 | 12,500円 | 18,700円 | 41,000円 |
〜3.0t | 免税 | 15,000円 | 22,500円 | 49,200円 |
自動車税
自動車税とは車両の排気量に応じて課税される税金で、自動車を所持している人は原則として毎年5月に支払いが必要です。EVは排気量が0ccなので、「排気量1,000㏄以下の普通自動車」と同じ、「税額2万5000円」の枠に当てはまります。
ただし、EVで「2021年4月1日から2023年3月31日に新規登録された車両」の場合は、『グリーン化特例』の対象になります。『グリーン化特例』は環境負荷が少ない車を減税対象とするもので、新車登録した翌年度分の自動車税が「概ね75%」減税となります。
自動車税
総排気量 | 税額 |
---|---|
1000cc以下 | 25,000円 |
〜1500cc | 30,500円 |
〜2000cc | 36,000円 |
〜2500cc | 43,500円 |
〜3000cc | 50,000円 |
3000cc超〜3500cc以下 | 57,000円 |
3500cc超〜4000cc以下 | 65,500円 |
4000cc超〜4500cc以下 | 75,500円 |
4500cc超〜6000cc以下 | 87,000円 |
6000cc超 | 110,000円 |
ランニングコスト③保険料
自動車を所持した際に加入が必要になる自動車保険。近年、環境保護推進のため、HV(ハイブリッド)やEVを対象とした『エコカー割引』を実施する保険会社が増えています。
エコカー割引は保険会社独自のもので、会社によって呼び方や割引率は異なります。また、割引対象車種が決まっている保険会社もあるため、契約の際は適用条件の確認が必須です。
自動車保険は車の維持に必要不可欠なコストです。ぜひ、各社のエコカー割引を比較して、お得に加入してください。
ランニングコスト④消耗品費
EVにはエンジンオイルや点火プラグなどのパーツがないため、基本的にオイル周りの消耗品の交換が不要です。また、回生ブレーキが搭載されているためブレーキによる摩耗が少なく、ブレーキパッドの交換もガソリン車ほど頻繁ではありません。当然ながら排気管(マフラー)も搭載していないため、エンジン車に必要なマフラーのメンテナンスや交換費用もいりません。
通常、エンジン車でこれらの消耗品にかかる金額をあげてみると、年に2回程度交換が必要なエンジンオイルが3,000円〜10,000円。走行距離1〜2万Kmごとに交換が必要な点火プラグの交換費用が1,000円〜10,000円。ブレーキパッドの交換が左右2箇所で6,000円〜。マフラーの点検・交換は内容に応じて数千円〜数万円の費用がかかります。EVの場合はこれらの費用がすべて不要になるため、長く乗り続けることでかなりの消耗品費が浮くことになります。
バッテリー交換は必要?
EVの駆動用バッテリーは消耗品であるため、長く乗っていれば当然劣化します。バッテリー交換には何十万という費用が発生しますが、近年のバッテリーは性能が上がり劣化しにくくなっているため、すぐに交換が必要になるケースはほぼありません。また、手厚い保証をつけているメーカーも増え、万が一バッテリーの交換が必要になっても自己負担となることはほぼないでしょう。
バッテリー保証の一例をあげると、日産では30kWh駆動用バッテリー搭載車の場合、“正常な使用条件下において新車登録から8年間または走行距離160,000kmまでのどちらか早い方において、ツインデジタルメーターのリチウムイオンバッテリー容量計が9セグメントを割り込んだ(=8セグメントになった)場合に、修理や部品交換を行い9セグメント以上へ復帰することを保証(※1)”としています。一般的には8年、あるいは走行距離160,000kmを超えると買い替えを選ぶ人が多いため、保証を使うケースはごくまれでしょう。
充電を工夫してさらにコストカット!
環境にやさしく、ガソリン車と比べて維持費もお得なEVですが、充電方法を工夫することでさらに走行コストを抑えることが可能です。例えば自宅で充電する場合、日中よりも電気代が安い深夜のうちに充電するのがおすすめ。寝ている時間を使って充電しながら合理的にコストカットが実現します。
戸建ての場合は、太陽光発電や蓄電池の設置を検討するのも手です。設置費用はかかりますが、充電代が永久に0円になるため、長期的な目で見れば大きなコストカットにつながるのではないでしょうか?
EVの魅力である維持費の安さを最大限に享受して、EVライフを楽しんでください!
※掲載情報は全て2022年7月時点のものです。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。