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賃貸アパートにEV充電器は導入すべき?手順や補助金も解説
賃貸アパートにEV充電器は導入すべき?手順や補助金も解説
目次
電気自動車(Electric Vehicle:EV)の普及にともない、EV充電器を街中で目にすることも珍しくなくなりました。
しかし、賃貸アパートの場合はまだまだ導入例が少なく、どうするか検討されているオーナー様もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、EV充電器の必要性や種類、導入する手順、補助金制度などを解説します。
電気自動車の普及に合わせて、EV充電器を導入しておきたいとお考えの方は、参考になさってください。
電気自動車の3つの充電シーン
電気自動車の充電シーンには、主に以下の3つがあります。
電気自動車の充電シーン
- 1.基礎充電
- 2.目的地充電
- 3.経路充電
次で1つずつ紹介していきます。
基礎充電
基礎充電とは、ドライバーが普段から長く滞在する場所(自宅や会社など)で行う、もっとも基本的な充電方法です。
帰宅時や出社時に充電器に接続しておいて、次に車を使うときまでに充電を済ませておきます。
最近では企業の福利厚生として、EV充電器を従業員に無料で貸し出しているところもあります。
目的地充電
目的地充電は、滞在先で充電することを指します。
たとえば生活圏内にあるコンビニやスーパー、病院などの駐車場のほか、旅行先のホテルや旅館、レジャー施設の駐車場で充電する場合も目的地充電と言います。
毎日の買い物や通院のついでに充電したり、遊びに行ったついでに充電したりと、基礎充電の次にメジャーな充電パターンです。
経路充電
目的地に向かう途中で電気自動車を充電することを、経路充電と言います。
ガソリン車と同様に、移動途中で高速SA/PAや市中にある充電器併設のガソリンスタンドなどに寄って充電します。
ガソリン車に比べると出発できるまでに時間がかかりますが、30分ほどで充電が完了する急速充電器が備えつけられているので、何時間も足止めを食らうことはありません。
賃貸アパートにEV充電器は必要?
さまざまな施設でEV充電器の設置が進んでいますが、マンションやアパートなどの集合住宅では、普及が遅れています。
電気自動車を持つ住人はまだまだ少数派なので、設置する必要はないと判断するオーナーが多いためです。
EV充電器が設置されていないのを理由に入居を諦める、あるいは引っ越すなどの選択を余儀なくされる住人も少なくありません。
国も電気自動車の普及に向けた施策を進めており、EV充電器の導入に際して、補助金を支給しています。
諸外国では、英国や韓国で新築の住宅や商業施設にEV充電器の設置を義務づけており、東京都でも、2025年4月より駐車台数の2割以上のEV充電器の設置が義務化されます。
将来は日本全国でEV充電器設置が義務化される可能性も考えられるため、今のうちに補助金を利用して設置を済ませてしまうほうが吉と言えるでしょう。
設置するメリットは?
EV充電器をアパートに設置すると、住人に喜ばれることはもちろん、空室対策や資産価値の向上にもつながります。
電気自動車を所有しているドライバーにとって、基礎充電ができる環境は必要不可欠です。
引っ越し先を探す際も、EV充電器がある物件を求めるでしょう。
ですので、EV充電器を完備していることは強みとなり、ほかの賃貸アパートと差別化を図れるポイントとなるわけです。
賃貸アパートに設置できるEV充電器の種類・スペック・費用
賃貸アパートに設置できるEV充電器には、普通充電器と急速充電器の2種類があります。
それぞれの充電器のスペックを、以下の表にまとめました。
普通充電器と急速充電器のスペック(40kWhの車の場合)
普通充電器 | 急速充電器 | |
出力数 | 約3~6kW | 約10~150kW |
充電時間 | 約17時間(満充電の場合) | 約30分(満充電の場合) |
本体価格 | 約17万~80万円 | 約200万~1,000万円 |
工事費用 | 約20万~30万円 | 約250万~1,000万円 |
メンテナンス費用 | 不要 | 年間約30万円 |
では、両者をさらに詳しく解説していきます。
種類①普通充電器
戸建て住宅やマンション、アパートに適しているのが、普通充電器です。
出力が低いため、満充電までに17時間ほどかかってしまいます。
しかし、電気自動車の場合は、ガソリン車と違ってフル充電にしてから走ることはほとんどありません。
満充電にするとバッテリーの劣化が早まってしまうためです。
就寝中や仕事中に、ある程度の充電量に達するまで数時間ほど充電しておけば、問題なく走行できます。
最小限のスペースで設置できるうえ、費用も本体価格と工事費を合わせて約37万~110万円と、急速充電器に比べて安く抑えられるのも利点です。
普通充電器にはコンセント型とポール型があり、戸建て住宅には設置が簡単なコンセント型、集合住宅には管理が簡単なポール型が向いています。
住人の専有駐車区画に設置して、個人で使ってもらう方法や、共有駐車区画に設置して、住人同士でシェアしてもらう方法などがあります。
種類②急速充電器
急速充電器は、高速道路のSA/PAや長距離移動が多く行われる路線のガソリンスタンド、カーディーラー、利用者の多い商業施設などに設置されています。
30分ほどで約80%まで充電できるため、外出先で急を要するときに活躍します。
普通充電器に比べて広い設置スペースが必要になり、消費電力や維持費もかかるため、一般的な住宅には向きません。
賃貸アパートにEV充電器を設置する場合の流れ
賃貸アパートにEV充電器を設置するには、以下の手順に沿って行います。
EV充電器を設置する際の手順
- 1.EV充電器を選ぶ
- 2.設置場所を決める
- 3.運用方法を決める
- 4.現地調査に来てもらう
- 5.アパートの電気設備に合わせた工事内容を設定する
- 6.補助金申請手続きを行う
- 7.充電器設置工事を開始する
- 8.充電管理システムやユーザー向け課金システムを構築する
- 9.利用者からのお問い合わせに対応する
- 10.利用数に応じて増設工事を検討・実施する
このリストを見てもわかるように、かなり専門的な作業が必要になります。
EV充電器の設置に特化した業者に設置工事一切を依頼しましょう。
EV充電器の導入に利用できる補助金制度
普通充電器であれば、本体価格と工事費用を合わせて約37万~110万円と、急速充電器に比べれば費用を抑えられるものの、高額な出費であることに変わりはありません。
国から支給される補助金を積極的に活用して、コストを最小限に抑えましょう。
国の2023年度の充電インフラ補助予算は、前年度の約3倍の約175億円にまで拡充されました。
普通充電器の場合は、本体価格の50%(上限額7万~35万円)、工事費用の100%(上限額95万~135万円)を補助してもらえます。
ただし、補助金制度を受けられるのは、一般社団法人次世代自動車振興センターが承認したEV充電器を購入し、それを設置する土地の使用権限を持つ方に限られます。
EV充電器付き賃貸アパートの需要はますます高まる! 補助金を利用して導入を進めておこう
本記事では、賃貸アパートにEV充電器を設置する必要性や、充電器の種類、設置の手順、補助金制度などについて解説しました。
賃貸アパートであれば、普通充電器を設置すれば問題ありません。
近い将来、東京以外でもEV充電器の設置が義務化される可能性は十分にあります。
補助金制度が充実している今こそ、賃貸アパートにEV充電器設置を検討してみてはいかがでしょうか。
プリンツ21の『EVライフ』であれば、EV充電器の設置から補助金の申請まで、すべてお任せいただけます。
導入をお考えの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
宮尾 魁
第1種電気工事士
宮尾 魁
第1種電気工事士
<保有資格>
第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士
<略歴>
電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。