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EV充電の基礎知識

EV POINTS

家庭用のEV充電器の種類やメリット・デメリットを解説

 

「電気自動車への買い替えを検討している」「電気自動車の充電効率を高めたい」このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
電気自動車を所有するなら、自宅へのEV充電器の設置も検討したいところです。

 

本記事では、家庭用におすすめのEV充電器や、自宅に設置するメリット・デメリットを詳しく解説します。
電気自動車の購入に際して、EV充電器の知識をつけておきたい方はぜひ最後までご覧ください。

 

家庭用におすすめのEV充電器とは

2050年のカーボンニュートラル化に向けた取り組みによって、今後はガソリン車から電気自動車への移行が活発化することが予想されます。
電気自動車の普及にともない、EV充電器の設置台数も街中に増えるはずですが、なかには自宅での充電をメインにお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

 

電気自動車の知識とあわせて、EV充電器の種類も押さえておきたいところです。
EV充電器には、「普通充電器」「急速充電器」「大出力急速充電器」の3種類があります。
なかでも、自宅に設置する家庭用に向いている種類は、普通充電器です。

 

普通充電器はさらに、「壁掛けタイプ」「コンセントタイプ」「スタンドタイプ」の3つに分けられます。

 

ここからは、普通充電器のメリット・デメリットや、急速充電器との違いを紹介するので、EV充電器の特徴を押さえておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

なお、本記事内で紹介する“家庭用のEV充電器”は、すべて普通充電器として説明します。

 

普通充電器のメリット

普通充電器は、戸建て住宅やマンション、ホテルといった長時間滞在する場所に設置するタイプです。
充電速度は緩やかで、数時間かけて充電するのが一般的です。

 

戸建て住宅で使用している100あるいは200ボルトに対応しているので、電気が通っている場所であれば、どこでも設置が可能です。
タイプによっては設置場所をとらないものや、電気工事の必要もなく簡単に設置できるものがあるのもメリットの1つです。

 

普通充電器のデメリット

普段使用している電力を使って利用できる点はメリットではあるものの、バッテリーのフル充電までに、長い時間を要します。

 

出力できる電力によっても、必要な時間は変動しますが、充電が完了するまでに8~16時間ほどかかることを想定しておきましょう。
そのため、電気自動車の充電に短時間しか確保できない場合は、普通充電器だけではまかなえない可能性が高いです。

 

電気自動車を連続して使用する場合は、睡眠中の時間などを活用して、まとまった時間を確保できるように注意したいところです。

 

急速充電器との違い

普通充電器と急速充電器の大きな違いは、出力です。

それぞれの出力を、以下にまとめました。

 

普通充電器と急速充電器の出力の違い

  • ・普通充電器:3.2~6キロワット
  • ・急速充電器:10~100キロワット

 

急速充電器は、高速道路のサービスエリアや道の駅、商業施設などに多く設置されています。
電圧が高く、充電スピードが早い点が特徴で、普通充電器よりも10倍速いものもあるほどです。

 

ただ、出力が高いことからバッテリーへの負荷も大きく、1回の充電時間が30分以内と決められているものがほとんどです。

そのため、長時間の基礎充電よりも、短時間の継ぎ足し充電がメインになります。

 

急速充電器を導入する場合は、機器本体代と設置工事費用をあわせて、500万円程度が必要です。
設置するスペースもかなり広く確保する必要があるので、家庭用にはあまり適していません。

 

急速充電器を家庭用としても設置できますが、家庭用のコンセントが単相交流(100または200ボルト)であるのに対して、急速充電器は三相交流(200ボルト)を使用しています。
家庭用として利用するには電源切り替えの工事が必要であり、コストやスペースの問題とあわせて、なかなかハードルが高いといえます。

 

家庭用のEV充電器を設置する2つのメリット

家庭用のEV充電器を自宅に設置すると、2つのメリットを享受できます。

ここからは、それぞれのメリットを詳しく紹介します。

 

メリット①手軽に充電できる

自宅にEV充電器を設置すれば、電気自動車を使わない時間を充電にあてられます。

 

充電速度は緩やかではありますが、充電中の時間は自由に過ごせます。
たとえば、22時から翌日の8時まで充電する場合、計10時間必要になりますが、寝ている時間を使えば日中に待つことはありません。

 

街中に設置されている充電スポットを利用する際は、混雑で順番待ちとなることもあります。
そのような場合でも自宅では、自身の好きなタイミングでこまめに充電できるので、フル充電にこだわらなければ利便性も向上します。

 

メリット②コストやバッテリーの劣化を抑えられる

自宅での充電は、月々の電気代の削減にもつながります。

 

街中に設置されている充電スポットを利用する場合、有料の「充電認証カード」の入手が必要です。
充電認証カードを利用すれば、街中の急速充電器を毎月定額で利用できますが、1回の充電が30分と定められていることから、フル充電できていなくても充電が自動で停止してしまいます。
バッテリーが0に近い場合には、フル充電にするまで、何回も充電する方もいらっしゃるもしれません。
しかし、急速充電器は高出力のためバッテリーの劣化が早まってしまいます。

 

その点、自宅にEV充電器を設置していれば、電気代が安くなる夜間を活用して充電できるので、月々の電気料金を抑えたり、バッテリーの劣化を防いだりするなどの効果が期待できます。

 

家庭用のEV充電器を設置する2つのデメリット

家庭用のEV充電器を自宅に設置することには、さまざまなメリットがある一方でデメリットもあります。

 

設置したあとに後悔しないように、ここで紹介する2つのデメリットも押さえておきましょう。

 

デメリット①初期費用がかかる

EV充電器を設置するには、機器本体代だけでなく設置工事費や導入費が必要です。

 

普通充電器と急速充電器で、初期費用が異なるので、導入する種類に必要な費用は押さえておきたいところです。
それぞれの費用の相場は、後述しますのでそちらを参考になさってください。

 

自宅にEV充電設備が整備されていない場合、ほとんどは充電器を導入するための電気工事が必要です。
これは、EV充電器の利用に専用回路が必要であるからです。
専用回路とは、ブレーカーから直接EV充電器のためだけに接続するコンセントを指します。
エアコンに専用のコンセントがあるのがその例です。

 

機器の導入費用だけでなく、電気工事代が別途必要になる点には注意しましょう。

 

デメリット②集合住宅では設置できない場合がある

自宅が集合住宅の場合、EV充電器が設置できない可能性があります。
マンションやアパートなどの集合住宅では、個人の権限でEV充電器の設置の是非は決められません。
オーナーや区分所有者、管理会社や管理組合の許可を得なければ、設置は不可能です。

 

電気自動車を購入する前に、必ずEV充電器が設置可能かどうかを確認しましょう。
EV充電器の設置を断られた場合に備え、街中のEVスタンドの位置をリサーチしておくと安心です。

 

家庭用のEV充電器を導入する場合の費用の相場

家庭用のEV充電器として、普通充電器を導入する場合、必要な費用は本体価格だけではなく、設置工事費用も必要です。

ここでは、それぞれの費用の相場を詳しく紹介します。

 

本体価格

普通充電器の本体価格は、1台あたり20万~70万円程度が相場です。
充電器のタイプによって異なりますが、数十万円あれば機器本体の購入は可能です。

 

相場よりも安い充電器には、出力が低いものもあるので、充電が完了するまでにかなりの時間がかかってしまいます。
価格だけ見て購入すると、思っていたよりも充電に時間がかかる、というおそれもあるので注意しましょう。

 

設置費用

普通充電器を購入したあとは、自宅に設置するための工事が必要です。

 

設置費用は、充電器1台あたり数十万円で、普通充電器の設置位置が分電盤から遠くなるほど、工事費は高くなります。
分電盤との距離によっては異なりますが、本体購入費とあわせて、100万円前後はかかると想定しておくとよいでしょう。

 

また、自宅の出力が100ボルトの場合、普通充電器なら充電できますが、フル充電になるまでの時間が長くなります。
200ボルトに変更する場合、電力会社に相談して契約内容を変更する必要があり、工事費用も追加でかかります。

 

事前に予算を決めたうえで、複数の業者に見積もりを依頼し、普通充電器を導入するにあたって必要な費用を把握しておくとスムーズです。

 

家庭用のEV充電器に補助金はある?

大前提として、EV充電器を設置する場所が個人宅の場合は、補助金制度は利用できません。
しかし、集合住宅やマンションのように、EV充電器を複数人で利用するのであれば利用可能です。

 

2023年5月現在、利用できる補助金制度は「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」などです。交付中のものには、令和4年度補正予算が該当します。
年度が違う「令和5年度当初予算」はまだ交付されていないので、注意しなければなりません。

 

また、国の補助金制度と自治体の補助金を併用できます。
併用できる補助金の例としては、東京都であれば「充電設備導入促進事業」、神奈川県では「神奈川県EV充電器設備整備費補助金」などが挙げられます。
いずれも令和5年度の受付が始まっているので、気になる方は各自治体のホームページをご確認ください。

 

家庭用のEV充電器の使用にかかる電気代

自宅にEV充電器を設置した場合、毎月の電気代が増えることになります。

 

具体的に月々どのくらいの電気代が必要になるのかは押さえておきたいですよね。
ここでは、日産自動車が試算しているデータをもとに解説します。

 

電力会社や契約プランによって具体的な単価は異なりますが、電気1キロワット時あたりの単価は20~30円程度とされています。
電気自動車の充電を月5回行うとした場合の電気代を求める計算式は、以下のとおりです。

 

【電気代の計算式】※電気自動車のバッテリー容量が30キロワット時の場合
単価20円の場合:20円×30キロワット時×5回=3,000円
単価30円の場合:30円×30キロワット時×5回=4,500円

 

このように、電気代は月々5,000円以内に収まることがわかります。
ガソリン車の場合の、月々のガソリン代と比べるとコストを削減できます。

 

充電の回数や電気代の単価によって細かい金額は異なりますが、おおよその目安はつくのではないでしょうか。

 

家庭用のEV充電器を選ぶ際のポイント

せっかくEV充電器を導入するのであれば、希望に合ったものを選びたいですよね。

 

家庭用のEV充電器を選ぶ際は、以下で紹介する3つのポイントを押さえて適切なものを探しましょう。

 

ポイント①設置タイプ

家庭用として普通充電器を設置するには、設置タイプごとに異なるスペースを確保する必要があります。

 

ここでは、冒頭で紹介した「壁掛けタイプ」「コンセントタイプ」「スタンドタイプ」の3つのメリット・デメリットを紹介します。
以下に特徴を含めてまとめたので、ぜひ参考になさってください。

 

設置タイプごとのメリット・デメリット

特徴 メリット デメリット
壁掛けタイプ ・建物の壁に設置する ・設置スペースをとらない

・導入時のコストが低い

・充電ケーブルを収納するためのスペースが必要になる
コンセントタイプ ・電気自動車のみのコンセントを設置する ・設置スペースをとらない

・最小限の工事だけで済む

・車載充電ケーブルの使用が前提になる
スタンドタイプ ・自立する ・充電ケーブルを収納できる

・防犯性の高いものが多い

・工事費が高くなりやすい

 

設置スペースに余裕がない場合は、設置場所をとらないコンセントタイプや、同様に少ないスペースで設置できる壁掛けタイプがおすすめです。

 

EV充電器の設置スペースに余裕があって、充電ケーブルを収納したいのであればスタンドタイプを選んでみてください。

 

ポイント②充電時間

普通充電器は、急速充電器と比べて充電速度は劣ります。
そのため、普通充電器は、充電完了までにどのくらいの時間がかかるのかを確認しておき、充電速度も把握しておきましょう。

 

普通充電器は、出力3キロワットが主流になってきており、バッテリーが充電完了するまでに約16時間かかるといわれています。
仮に出力6キロワットであれば、半分の約8時間で完了するでしょう。

 

EV充電器の出力の大きさは、充電速度にも比例するので、充電時間や速度を重視する場合は、出力の確認も必要です。

 

ポイント③充電モード

EV充電器には、「Mode1」「Mode2」「Mode3」「Mode4」の充電モードがあり、電力の制御装置の位置によって分類が分けられています。
電動自動車の車種によっては、充電モードが限定されることがあるので、違いは押さえておきたいところです。

 

ここからはMode1~4の4つの充電モードの違いを紹介します。

 

Mode1

Mode1は、電気供給のみの機能を搭載しており、コンセントタイプでの充電になるので、充電ケーブルを準備する必要があります。

 

なお、Mode1は比較的旧型の電気自動車に該当することがほとんどのため、新車であればMode1の使用は推奨されていません。

 

Mode2

Mode2は、充電器本体と充電ケーブルにも制御装置が搭載されているものを指します。
Mode1の普通充電器と、制御装置を搭載したMode2のケーブルを組み合わせて使用します。

 

コンセントタイプの充電器なので、制御装置を搭載していないMode1に制御装置を搭載している充電ケーブルを取り付けると、Mode2になるという認識で問題ありません。

 

Mode3

EV充電器の本体に制御装置を搭載しているものを、Mode3とよびます。
Mode3では、充電機器本体にケーブルがついているので、車載ケーブルは必要ありません。

 

Mode1やMode2と比べて、さらに安全性が高まるので、現在ではMode3の使用が推奨されています。

 

Mode4

前述したMode1~3は普通充電器ですが、Mode4は急速充電器を指します。
Mode3と同じく、充電器側についているケーブルを使って充電するので、車載ケーブルは不要です。

 

家庭用のEV充電器はどこで購入する?

「自宅に設置できるEV充電器は、結局どこで買えるの……?」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

家庭用のEV充電器は、メーカーから直接購入できないことがほとんどで、代理店をとおして購入する必要があります。
家電量販店にも取り扱いはほとんどなく、カタログで一部対応している程度です。

 

ここでは、EV充電器の購入先を2つ紹介するので、これから購入される方はぜひ参考にしてみてください。

 

購入先①自動車ディーラー

電気自動車を販売している、各自動車ディーラーを通じてEV充電器は購入できます。

 

ディーラーによって、取り扱っているEV充電器が異なるので、必ずしも希望するメーカーのものが手に入るわけではありません。
購入したいEV充電器のメーカーが決まっている場合は、各ディーラーに問い合わせて取り扱っているメーカーを聞いておくと安心です。

 

購入先②電気工事業者

EV充電器は、電気工事業者からでも購入可能です。

 

複数のメーカー品を取り扱っているので、多くのメーカーから好みのEV充電器を選べます。
ディーラーが取り扱っていないメーカーを購入したい場合は、電気工事業者に問い合わせるとよいでしょう。

 

家庭用のEV充電器の設置を依頼する業者を選ぶ際の注意点

最後に、家庭用のEV充電器を設置してもらう業者を探す際に、押さえておきたい注意点を紹介します。
設置後のトラブルを防ぐために、優良業者を見極めましょう。

 

注意点①必要な資格を取得しているか

EV充電器の設置工事は、「第二種電気工事士」の資格が必要です。
電気工事の手順を間違うと、漏電による火災や感電事故などにつながるおそれがあるためです。

 

専門的な知識だけではなく、正確な技術が要求される工事なので、自身で対応しようとお考えの方は絶対やめましょう。
工事の手順を理解しているからといって、無資格で工事する業者もいるようなので、依頼を検討している業者に有資格者が在籍しているかどうかは、依頼前に必ず確認してください。

 

注意点②実績数が豊富か

ひと口にEV充電器の設置工事とは言っても、設置する自宅の環境によって工事の内容が変わり、難易度も変動します。
駐車場とEV充電器を設置する位置までの距離や、分電盤の状況などによって作業工数も異なるので、過去の実績数は大きく影響します。

 

作業内容が変更になっても、柔軟に対応してもらえる業者であれば、過去に対応した工事のノウハウを蓄積した優良業者として、工事の仕上がりにも期待できるでしょう。

 

業者の過去の実績は、ホームページや寄せられた口コミなどで確認できるので、気になる業者がいれば直接確認してみてください。

 

家庭用としてEV充電器を導入するなら普通充電器がおすすめ

いかがでしたでしょうか?

 

家庭用のEV充電器を設置する場合、普通充電器と急速充電器の2種類がありますが、機能や導入費用などを加味すると、普通充電器がおすすめです。

 

普通充電器には、壁掛けタイプやコンセントタイプ、そしてスタンドタイプがありますが、それぞれ設置するにあたってのスペースが異なります。
自宅の駐車場の広さや、電力を供給する分電盤の位置などを加味して、適切な物を選んでみてください。

 

EVライフでは、EVスタンドやEV充電器の設置に関わるご相談を承っております。
戸建て住宅はもちろん集合住宅や商業施設などへの施工工事も可能ですので、新たに設置をご検討中の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者の写真

宮尾 魁

第1種電気工事士

宮尾 魁

第1種電気工事士

<保有資格>

第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士

<略歴>

電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。

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