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EVライフ 200Vの充電設備を自宅に設置する際の費用目安・工事内容と注意点

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EVの基礎知識

EV POINTS

200Vの充電設備を自宅に設置する際の費用目安・工事内容と注意点

「EV」と呼ばれる電気自動車、「PHV/PHEV」と呼ばれるプラグインハイブリッド車は、自宅の設備を使って充電をすることができます。従来のようにスタンドで給油をする手間がかからず、自宅で電気を作って使えるというエコなメリットもあります。

 

この記事では、自宅に設置することができる充電設備について紹介します。充電設備の設置のメリットや100Vと200Vの違い、導入前に考えておきたいポイントをまとめました。

 

これからEV車やプラグインハイブリッド車の利用を考えている方、充電設備を導入してみたい方は、ぜひ参考にしてください。

自宅に設置できる電気自動車の充電設備

自宅に設置する充電設備には、地面に立てた状態で使用するスタンドタイプと、コンセントに繋いで充電させるコンセントタイプに分けられます。それぞれの特徴や魅力をチェックしていきましょう。

スタンドタイプ

スタンドタイプ(充電スタンド)は、立てた状態で設置する充電設備です。壁面に取り付けるコンセントタイプと違い、壁への工事が必要なく独立して設置できる点がポイントです。カーポートに取り付けた状態で設置ができるものもあり、カーポートの工事と一緒に取り付けられる製品も選べます。

 

置き型のため安定感がありますが、ぐらつきの心配がなく風雨の影響を受けにくい、安定した場所に設置する必要があります。場所によっては入出庫や車庫の妨げになってしまうおそれがあるため、車の可動範囲外に取り付ける必要があります。

コンセントタイプ

コンセントタイプ(屋外コンセント/ポール型/壁面取り付けコンセント)は、カーポートなどに隣接する壁面に直接取り付ける充電設備です。フタが付いたコンパクトな箱型の設備で、充電プラグを箱の下側から差し込んで充電します。片手でも抜き差しができるもの、耐久性が高いものなど、利便性や機能で選ぶこともできます。

 

スタンドタイプのように入出庫や車庫を妨げにくく、壁面を有効活用することができます。スタンドタイプよりも安価な製品が多く、コンパクトでリーズナブルな設備を選びたい方におすすめです。

自宅に電気自動車の充電設備を設置するメリット

自宅に電気自動車の充電設備を設置することで、コスト面と利便性にメリットが期待できます。コスト面では、自宅外の充電スタンドへ出かけていく必要がなくなり、自宅ですぐに充電が行なえるため、充電スタンドから自宅までの往復のコストがカットできます。

 

維持費の点で考えても、価格が急騰しやすいガソリンよりEVやプラグインハイブリッド車の電気のほうが燃料費を抑えられると考えられます。自宅で発電した電気を蓄電しておき、充電用に回すといった方法も選べるため、太陽光発電システムや蓄電池と組み合わせればさらに費用を節約できる可能性があるでしょう。

 

自宅ですぐに充電ができるため、スタンドに並ぶ手間や時間がカットできます。充電スタンドを探したり把握したりする手間がかからず、混雑を気にせずに充電できます。

 

一度取り付けや設置工事を行えば、充電スタンドへ行く必要がなくなります。使用頻度があまり高くなくても、自宅に充電設備を設置しておくだけでメリットが期待できるでしょう。

自宅に設置する充電設備は100Vと200Vどちらのほうがよい?

自宅に充電設備を導入する際、コンセント・スタンドのどちらも100Vと200Vの2種類の電圧から選ぶことになります。100Vは室内用コンセントの電圧と同じものですが、200Vはその2倍のパワーで充電が行なえます。

 

100Vの場合屋外コンセントをそのまま活用できるため、工事費用が安く抑えられます。一方で、100Vは1時間の充電で10km程度の走行が可能ですが、200Vなら30分で完了するため2倍の時間がかかります。

 

200Vで3時間充電のところ、100Vでは6時間がかかってしまうため、中距離以上の外出をしたいときに車が準備できない(または外で急速充電を利用しなければならない)というデメリットが考えられます。

 

200Vは、本体の購入にかかる費用が100Vのものとほぼ同じであり、コンセントタイプはスタンドタイプよりも安価に購入・取り付けができます。100Vよりもスピーディに充電が完了するため、メインで使用する自家用車には200Vタイプの充電設備がおすすめです。

 

一例として、夜間の電気代がお得になるプランを選べば、夜のうちに安く充電を済ませておけます。200Vのものは100Vよりも時間をかけずに満充電が行なえるので、車を使う機会が少ない時間帯を選んで充電すれば、すぐ車が使える状態にできるのです。

自宅に充電設備を導入する前に考えること

自宅に充電設備を設置するときは、設備を取り付ける位置・充電器の種類・既存のアンペア数の3点をチェックして製品を選ぶ必要があります。それぞれの内容を詳しくみていきましょう。

取り付ける位置

充電設備の取り付け位置は、事前に業者とよく相談しておく必要があります。設備の大きさや種類にもよりますが、駐車場やカーポート内への取り付けの際はゆとりのある位置に設置し、車との距離が離れすぎない適切な位置を探してください。

 

壁への取り付けについては、車を駐車して正しく充電ができることを確認してから工事を実施しましょう。外から見えにくい位置を選ぶ、または取り外しのしにくい場所や設備は防犯性の向上に役立ちます。

充電器の種類

家庭用の充電器は、普通充電器と呼ばれています。単相AC100Vまたは200Vの電源をもち、コンセントタイプとスタンドタイプに分けられます。

 

コンセントタイプはスタンドタイプに比べて購入費用が安く、100Vのものは手軽に設置ができます。スタンドタイプは安定感がある一方で場所をとりやすく、駐車スペースを邪魔しないように置き場所を選ばなければならないため、設置場所に余裕がなければコンセントタイプをおすすめします。

 

外部の充電スタンドにある急速充電器は、200Vの電源に50kW程度の出力が可能なものが一般的です。高圧契約を結ばなければならないため、家庭用のものとしては一般的ではありません。

既存のアンペア数

一般家庭では電気を契約する際に、10A以上のアンペア数を契約するのが一般的です。EVやPHV・PHEV用の充電器は3kWの出力で最大15A、6kWの出力のもので最大30Aの電流が流れます。

 

車の充電中に電子レンジ、洗濯機、アイロンなどの家電製品を使用すると電力量を超過するため、ブレーカーが落ちる可能性があります。

 

電気自動車用の充電設備を導入する予定がある方は、現在の契約アンペア数に15Aまたは30Aを足し合わせたアンペア数への変更を検討してください。

200Vの充電設備を設置する場合に必要な工事内容

200Vの充電設備は、家庭用の100V電圧から200Vの電圧がかかるように変更をしなければなりません。具体的には以下の設備工事が必要になります。

 

【200Vの充電設備設置に必要な工事内容】

  • ・設計費用
  • ・電源の引き込み
  • ・電力計の交換
  • ・電圧切り替え工事
  • ・ブレーカーの交換
  • ・分電盤からの配線
  • ・配線時の穴あけ・配管
  • ・充電設備の設置
  • ・電気工事検査
  • ・その他の費用

工事の前には現地調査を行って、設備や配線の設置場所や工事内容を設計しなければなりません。次に、用意した資材を使って充電器の設置工事を行います。

 

設置工事では電源の引き込みや電力計の交換、電圧を200Vに切り替える工事やブレーカーの交換を行ったあと、分電盤からの配線のために穴あけ工事を行って設備を設置します。さらに充電設備が正しく動作するか(電気が流れているか)を検査しなければならないため、検査費用も発生します。

 

その他の費用としては、ケーブルなどの資材にかかる費用・交通費や手数料・新規アース工事費・分電盤の交換工事費・電力会社への申請費用が含まれます。工事場所の状況によっては費用がかからない場合もあります。

自宅に電気自動車の充電設備を設置する費用

自宅に電気自動車の充電設備を設置する場合、設計費用から検査費用までがかかります。工事業者と自宅の距離が遠い場合は交通費(出張費)も発生します。

 

費用の目安は、20万円前後〜100万円程度までと幅があります。比較的安く設置ができるコンセントタイプに比べて、駐車場などに設置する置き型のスタンドタイプは、製品の購入費用が数十万円になる場合もあるため、工事費も含めると100万円程度がかかる場合もあるようです。

利用できる補助金はある?

EV充電器の設置については、国や自治体が提供する補助金を使ってコストを抑えられる場合があります。

 

北海道札幌市では、2023年度(令和5年度)の補助制度として「札幌市ゼロエミッション自動車購入等補助制度」を提供しています。電気自動車などのゼロエミッション自動車の購入費用(新車のみ)に加え、充電設備の本体購入費用と、設置工事費用の一部が補助の対象となっています。

 

注意点として、補助制度は自治体それぞれが毎年の予算を確保したうえで提供しているものです。補助を受ける人が多いほど予算が消化されるため、申請ができなくなってしまいます。また、補助を受ける際には充電設備の設置年月日の期日、補助制度の募集期間や締切日を確認しましょう。

自宅に200Vの充電設備を設置する場合の注意点

自宅に200Vの充電設備を設置する場合、契約アンペア数や工事業者選びに注意が必要です。具体的にどのようなポイントに注意すべきなのか、詳しくチェックしていきましょう。

注意点①契約アンペア数を確認する

契約アンペア数は、充電設備の稼働中に他の家電製品が使えなくなってしまわないように余裕をもたせることをおすすめします。車のほうで受電量を調節できる車種も販売されていますが、そうした車種が選べない場合はアンペア数に余裕をもつことが第一です。

 

家電製品以外にも、太陽光発電システムや蓄電池のように電気を消費する設備をEV充電器と組み合わせる場合は、さらに使用電力が大きくなります。電気自動車やEV充電器と一緒に太陽光発電システムも導入する場合は、さらにゆとりあるアンペア数での契約をおすすめします。

注意点②第二種電気工事士の有資格者が在籍する業者を選ぶ

充電器の取り付けは、DIYのように自力では行うことができません。正しい知識と経験をもつ有資格者、具体的には第二種電気工事士の資格が必要です。

 

第二種電気工事士は、一般住宅の電気設備工事を扱える資格です。出力が50kWを超える高圧の急速充電器は第一種電気工事士の資格が必要ですが、一般家庭用の充電器であれば二種のみで問題ありません。

 

無免許での工事は危険やリスクが大きいため、最低でも二種の資格をもっているスタッフに対応してもらいましょう。工事を依頼する際、有資格者が対応できるかどうかをチェックしておくと安心です。

電気自動車の満充電までにかかる時間

電気自動車を満充電する際、100Vと200Vではかかる時間に違いが出ます。それぞれの充電時間を比較しながら、充電スタンドに設置されている急速充電器との違いも確認していきましょう。

自宅の場合(普通充電)

バッテリー容量20kWhの軽EV自動車の場合、出力3kW(100Vの充電器×20A)では満充電までに6時間ほどがかかります。200Vの充電器に変更し、30Aで契約をするとその2倍のスピードで充電ができるため、3時間ほどの所要時間となります。

 

バッテリー容量が大きくなるほど、満充電までには時間がかかります。40kWhの普通EV自動車なら、出力3kW(100Vの充電器×20A)で約12時間の充電時間となります。200Vの充電器に変更し、30Aで契約をすると約6時間で満充電が完了します。

 

近年では、通常よりも大容量のバッテリーを搭載した車種も登場しています。スバルの「ソルテラ」は71.4kWhのバッテリー容量で、出力3.2kWでは満充電までに約21時間が必要になります(※)。

 

200Vの充電器に変更し、30Aで契約をすると出力が6kW程度確保でき、約12時間で満充電が完了する計算となっています。

 

※参考元:SUBARU「SOLTERRA」

外出先の場合(急速充電)

外出先で見かける充電スタンドには、約50kWの大出力が可能な急速充電器が設置されています。1回の充電が30分まで(制御によって満充電の前に充電を終了する)というケースが多くみられます。

 

急速充電器は高出力かつバッテリーへの負担が大きくなりやすいほか、充電の順番待ちで渋滞が発生しないように、30分程度の短い時間のみと決められているのです。

 

それでも家庭用の充電器より出力が大きいため、30分で25kWhの電力量が充電できる計算になります。80%前後を境に充電率が下がっていき終了してしまっても、軽EV自動車であれば70%以上は30分間のうちに充電が終えられる計算になります。

自宅に適した設備を導入しよう

今回は、自宅に設置できるEV充電設備について紹介しました。設備を導入する際は、設置場所・アンペア数・有資格者が在籍している工事業者をチェックし、太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車などとの組み合わせもよく考えて導入しましょう。

 

自宅近くに充電スタンドがなければ、外に充電をしに行かなければならず不便が生じます。一方、居住者のために充電環境を整えておけば、必要なときに車が使えるため安心感があります。導入に関する疑問点は、充電設備の設置にノウハウや実績をもつサービス会社にご相談ください。

 

EVライフでは、EVスタンドやEV充電器の設置に関わるサポートを行っています。
これから導入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

監修者の写真

宮尾 魁

第1種電気工事士

宮尾 魁

第1種電気工事士

<保有資格>

第1種電気工事士、2級電気工事施工管理技士

<略歴>

電気工事会社で工事業務を担当し数々の大規模プロジェクトに携わり、高い技術と専門知識を習得。組織内の工事プロジェクトの指揮を執る。革新的な技術や効率的なプロジェクト管理を取り入れる手法は業界内での評価も高い。

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